『ぼくらの茅ヶ崎物語』発売まであと2日‼解説Vol.5 加山雄三ファンの国木田甚一は信じられないほど頭が悪い

できればもうアイツの話は本当はしたくない。

見ているとダメな自分が、そこにいる気がして

めちゃくちゃ腹が立つ。殴りたい。いや消したい。


なのに今もLINEをしてしまっている…、なんてこった。


彼と出遇って、まだ一年ちょいじゃないかな。

最初にブランディン・宮治さん奥さまから、

加山雄三マニアのやばいやつが来たと連絡をもらった。


茅ヶ崎でサザンファンも少ないが、若大将ファンはさらに会ったことがなかった。

少なくとも私の生活圏内にはいなかった。

しかし、その私の生活圏内に現れてしまったのだから仕方がない。


そして自分より年下だという、なんだと!?

オレより加山雄三に詳しいやつが茅ヶ崎にいるはずがないと。

よし、いっちょ会ってみようじゃないか。


宮治さん奥さまからここらの山野楽器で働いていると聞いて、

即ブランディンから辻堂の山野へ電話。


「もしもし?そちらに加山雄三ファンの店員さんがいると聞いたのですが」

「あ、僕です」


出るんじゃねーよ、いきなり。

彼は色んな意味で、童貞だと想う。

要するに、頭が悪いんだ。


電話に出て、その日の夜には、オレの飲みの誘いで来ちゃう。

その時点でどうかしている。


福島県いわき市から、「加山さんと同じ環境で生きていきたい」と

茅ヶ崎の名門・文教大学へ進学。

間違いなくオレなら浪人してでも慶応に入るね、頭が悪いんだ。


モズライト買って、光進丸のとこにサインもらいにいっちゃう。

オレそういうの一番キライ、頭が悪い。


そんでその高いギターは、傷つけたくないから使わないと。

いや、ギターは弾いてなんぼだろ?頭が悪い。


若大将ジョークなのか知らないけれど、「幸せだなぁ」と言えばウケると思っている。

ネット詐欺にひっかかる。

休みが週イチ位しか無いのに、いつも金が無い。

文章がヘタクソ、文字校正能力もない。

ましてやスマホもロクに使えない。


おい、国木田、おまえの世界には何が見えてるんだ?

このままでいいのか?

何のために茅ヶ崎へ来たんだ?


そうして彼はネットで調べた情報だけで設計図を作り、

自作の船で烏帽子岩へと出航した。


そう、ぼくらが「恐怖」だとか「面倒」だとか思うことを

頭が悪いから、ひょんとやり遂げてきた。

…いや、やり続けている、沈没したからね。

彼と私は、新田和長さんにお話を伺った。

女房役として、プロデューサーという立場で長年にわたり、加山さんといた方だ。


茅ヶ崎の若大将、生きる伝説 ~新田和長が語る


デビュー当初のスタッフ陣にも遇いたかったけれど、

ぼくらは加山さんが如何にして所謂「冬の時代」から抜け出し

75年からの再ブームに繋がったのかに、興味があった。


私の話で申し訳ないが、「失敗学」という学問を立ち上げたいと思ってきた。

もはや人生の9割は失敗なんじゃないかと、でもそれは決して無駄ではないという。


ぼくらの執筆中、光進丸が火災にあってしまった際に、

加山さんは

「これはね光進丸が自ら消えていってくれて、

 これからは世のため人のために生きろって言っている気がするんです」

という、82歳にして人生の転機が訪れるという、

とんでもないことが起きたのだ。


これはパシフィック倒産や、不慮の事故など、

幾度も荒波を乗り越えてきた加山さんだったが…

本当に、生き方が変わったんだろうな、と想っている。


そう受け止められている、加山さんの心が凄い。

だって80歳超えて、自己内省とかさ、普通ないですよ。

だから私は加山さんを失敗の天才だと想っている。


国木田、おまえもたくさん失敗するが良い。

そしてまた、新田和長さんのような、人と出遇うんだぞ。

それで、いつか烏帽子岩へとたどり着ければいいんだ。

フタリヲー ユーウヤミガアー♪

ってお前じゃねえ!!

『ぼくらの茅ヶ崎物語

 日本のポップス創世記 茅ヶ崎サウンド・ヒストリー』


釈 順正(湘南ロックンロールセンターAGAIN)=編

A5サイズ/224ページ/本体価格1,800円+税

2019年7月30日発売


発売元:株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント


▶加山雄三誕生(1937年)からサザンオールスターズ紅白歌合戦初出場(1979年)までの茅ヶ崎サウンド・カルチャーにまつわる事象を、識者による共同作業で徹底研究。名盤誕生に貢献したスタッフによる証言や、重要な拠点となった軽音楽サークル「湘南ロックンロールセンター」の全容解明、当事者たちへの取材を通して、“湘南サウンド”の成立過程を浮き彫りにする。


▶詳細な年表も掲載、日本ポップス史を一変させた茅ヶ崎の神秘に迫る、究極の研究書!!


◎関係者インタビュー


新田和長が語る加山雄三/島英二(ザ・ワイルドワンズ)/岩沢二弓(ブレッド&バター)/石黒ケイ/岡本洋平(Hermann H. & The Pacemakers)[敬称略]



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